THE TIME YOU ENJOY WASTING IS NOT WASTED TIME

テキサス州オースティン在住の単身赴任者の記録

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The time you enjoy wasting is not wasted time

 

はじめに

私のブログタイトルは

”The time you enjoy wasting is not wasted time.”

です。

 

タイトルとしてはちょっと長いですが、とても気に入っているセリフなので、これを採用しました。今日はこのセリフをタイトルに採用した経緯と理由を書きたいと思います。

 

 

出会い

私がこのセリフと出会ったのは、私が住むAustinにあるギャラリーに売っていたノートがきっかけです。

 

AustinにはBlue Genie Art Bazaarという地元のアーティストが作ったクラフトや雑貨を販売しているギャラリーがあるのですが、そこに立ち寄った際にそのノートを見つけました。

ひと目見て、なんかええセリフやなと思って購入しました。

 

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私は家族と離れて単身でここテキサス州で暮らしています。いくら仕事のため、また仕事を通じて社会に貢献しているといっても、家族と離れて生活することに疑問を感じるときもあります。

一人でテレビを見たり、音楽を聴いたりしているときに、ふと「なんて無駄な時間を過ごしているんやろ」と思うことがあります。

 

一方で、家族との時間を犠牲にしている以上、有意義に過ごさないと離れている家族にも申し訳ないという気持ちがあります。そうかといって24時間1年中、有意義な時間を過ごすなんて、できない話です。なので、せめて楽しい時間を過ごそう、と思っていました。

 

そんなときに、The time you enjoy wasting is not wasted time.というセリフを見つけました。なんか自分の気持を表しているな、と思ってこのノートを買いました。冒頭の写真がそのノートです。

 

誰のセリフ?

このとき初めて出会ったセリフですが、ノートの表紙に使われるってことは、自分が知らないだけでなにかの映画や物語のなかで使われたことがある有名なセリフなんかな、と思って帰ってから調べました。

 

ネットで調べた限りでは、このセリフが出てくる一番古い書物は、Marthe Troly-Curtin著 ”Phrynette Married”という書物の中のようです。1912年の発刊です。もちろんこれ以前にも使われていた可能性はあるのですが、記録が残っている書物としては、これが最も古いようです。

 

 

上記のサイトに以下の記述があります。

Troly-Curtin's novel Phrynette Married (1912) is the earliest certain source of the popular quote "Time you enjoy wasting is not wasted time."

Troly-Curtinの小説『Phrynette Married』(1912)は、"Time you enjoy wasted is not wasted time. "という有名な言葉の最も古い確かな出典である。

 

さらに、以下の記載があります。

“… Your father, for instance, don’t you think he would have done three times as much work if it had not been for your—what shall I say—’bringing up’?”
“He liked it—time you enjoy wasting is not wasted time.”
“Oh, but it was in his case—wasted for him and for many lovers of art.”
― Marthe Troly-Curtin, Phrynette Married

「...例えば、あなたのお父さんは、何と言えば良いか…あなたを'養育する'必要がなかったら3倍の仕事をしたのではないでしょうか?」
「彼はそれが好きだったわ。楽しむ時間は無駄にならない時間だって」
「ああ、でも彼の場合はそうじゃなかったわ―彼と芸術の愛好者の多くにとっては無駄な時間だったわ」

 

って感じで登場します。どうやら、父親の育児が父親にとって無駄か無駄じゃないかを議論しているようです。

 

それ以降の引用

その後、1969年に発刊の「ピーターの法則(The Peter Principle)」著書Laurence Peterの中でも登場します。この書籍のなかで紛らわしい引用のされ方をしているので、イギリスの哲学者、ノーベル文学賞受賞者のBertrand Russellの言葉であるという説もあるのですが、それは誤解であるという認識が多いです。

 

近年になると2000年にオーストラリアの雑誌にJohn Lennonの言葉として、この言葉が引用されました。なのでJohn Lennonの言葉というのが一番たくさんネットで引っかかるような気がします。しかし、John Lennonが亡くなったのは1980年であり、亡くなってから20年も経ってから雑誌に引用されているので、どこまで信憑性があるのか分かりません。

 

もともとそんなに複雑な長いセリフではないので、誰が一番最初に言ったか?誰のセリフか?ということはあまり追求しても意味がないような気がします。

 

日本語訳

どのような日本語訳が最適なのか、私は分からないですが、DeepLに入れてみると「無駄な時間を楽しむことは、無駄な時間ではありません」と出てきます。まぁ、そういうことでしょう。日本語にしてしまうと、幾分もっさりした印象を受けてしまいます。「無駄な時間」という全く同じ言葉が2回登場するからでしょうね。

 

私は自分のブログのサブタイトルに「無駄な時間も楽しく過ごせば、無駄な時間じゃない!」と記載しています。やっぱり、ちょっともっさりしてますね。

 

どういう訳が最適かは置いといて、「楽しんだ時間」≠「無駄な時間」ということを言ってるのだと思います。

 

このセリフが好きなところ

無駄か、無駄じゃないか、の判断は「過ごし方」に依ると考えるのが普通だと思うのです。

 

例えば、勉強に費やした時間は無駄じゃないし、マンガを読んだ時間は無駄とか。でも、このセリフに私が心救われるのは、無駄か無駄じゃないかの判断を「(物理的な)過ごし方」ではなく、「(精神的な)感じ方」にシフトさせている点です。

 

「物理的な過ごし方」で、無駄じゃない時間を過ごすのは非常に難しいし、心理的な圧迫を感じます。しかし「精神的な感じ方」で、無駄じゃない時間を過ごすことは、心理的な圧迫を感じないし、なんならできるような気がします。

 

「物理的な過ごし方」は他人からでも分かりますが、「精神的な感じ方」は自分自身にしか分からないので、他者評価から自己評価へのシフトとも言えます。最初の小説で言うと、子育てが無駄な時間だったかどうかは、そのお父さんにしか分からないのです。第三者がとやかく言うことではありません。

 

他人がどう思おうと、いまを楽しんでさえいれば、少なくともそれは無駄な時間じゃないんだ、と思わせてくれ、心理的な圧迫から開放してくれるので、このセリフが好きなのです。

 

最後に

なぜいまさら唐突に、自分のブログタイトルの解説を書いたかというと、Google Search Consoleを見たところ”The time you enjoy wasting is/was not wasted time”という言葉で検索して、私のブログに来られた方がおられる、というのを知ったからです。

 

検索結果でここに来られた方は、せっかく来られたのだから私が米国で過ごしている記事をいくつかお読みになってから帰っていってください。

 

その時間を楽しめば、決して無駄な時間ではありませんから(笑)

 

 

それでは、またー