THE TIME YOU ENJOY WASTING IS NOT WASTED TIME

テキサス州オースティン在住の単身赴任者の記録

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【2024年4月8日:皆既日食】観察レポート

 

 

はじめに

ご存知の方も多いかと思いますが2024年4月8日、米国で皆既日食が観察されました。この日、私の住むテキサス州Austinはお天気はイマイチだったのですが、なんとか観察はできたので、その結果を記録しておこうと思います。

 

観察まで

Austinは部分日食ではなく、完全な皆既日食が観察できるギリギリのエリアです。なので当初はもう少し観察時間が長くなるところ(例えば Fredericksburg)に移動しようかと思ってたのですが、私が思ってた以上にこの日食は世間の関心が高く渋滞が予想されること、また遠出してもお天気の関係で観察できる保証がないこと、から「もう近場でええか」という結論になり、私のアパートから徒歩5分の公園にしました。

なんならアパートのバルコニーでも良かったのですが、13時ごろの太陽の位置は私の部屋のバルコニーから見えないことは確認していました。

私が観察場所に選んだところ。お天気はずっとこんな感じでした。

今回の皆既日食が観察できる米国内エリアに関して、もしご興味あれば過去に書いた下の記事を御覧ください。

 

お天気は曇天。厚い雲が流れてきたり、薄雲越しに太陽がうっすら見えたり、時折雲の切れ目から太陽が覗いたり、を繰り返す感じでした。とにかく安定してなかったです。

 

この雲の流れのせいで、空の明るさが常に変化するので、カメラの設定も常にマニュアルで変更しながら撮影しないといけなかったので、撮れた画像の輝度はまちまちです。また、雲のせいでピントも追い込み辛く、結果的に少しピントが甘かったように思います。(と先に言い訳しておく)

 

撮影結果

以下に撮影した画像からいくつかピックアップして披露します。時系列で並んでます。連番の横は撮影時間です。

 

1_13:08,   2_13:19,   3_13:29
4_13:36,   5_13:38,   6_13:39
7_13:39,   8_13:40,   9_13:41
10_13:42,   11_13:45,   12_13:52


この13時38分あたりから13時42分ごろまでの明るさの変化は本当に激しいです。上の8番の写真は完全な皆既日食状態ですが、写真上は結構明るく光ってます。これはカメラ撮影のシャッター時間を長くしたためで、見た目には真っ暗な状態です。上の8番の時(13時40分ごろ)地上は夜になってます。

 

▼上の写真にいくつか写真を追加してのパラパラ漫画風動画です。


6番と9番が皆既日食の前後に見られるダイヤモンドリングと言われる光り方です。6番のほうは突然来るから焦っちゃって上手く撮れなかったけど、9番のほうは心の準備ができてたので6番よりは上手く撮れました。6から9番にかけてはプロミネンスと思われる赤い点も映ってるのですが、解像が十分でなくプロミネンス?って感じですね。

 

参考までに撮影条件です(誰への参考?笑)。レンズは400mmです。上の5番の写真は {ISO160, f/6.3, 1/8000S}ですが、8番の写真は{ISO160, f/5.6, 1/3S}です。9番は{ISO160, f/5.6, 1.0S}です。10番はまた戻って{ISO160, f/5.6, 1/4000S}です。それぐらい明るさの変化があります。

 

▼皆既日食直前のタイムラプス


上の動画は携帯のタイムラプスで撮影した皆既日食に入る数分前から終わるまでの動画です。はっきり覚えてないけど、上の連続写真の4番から10番ぐらいまでの状態のタイムラプスです。完全に太陽が隠れると急に一気に暗くなりました。きっと道路の街頭は暗さに反応して点灯するのだと思うのですが、街頭が点灯するのが確認できます。

 

一つ残念だったのが、写真撮影に必死で星を探すのを忘れてました。私の友人に後で聞いたところ完全な皆既状態のとき「星が見えた」って言ってました。私がいたところから星が見えるような雲の隙間があったかどうか今となってはよく分かりませんが、少なくとも星を探すことをしなかったので、それが心残りとなってしまいました。

 

とは言え、一気に夜になる変化は本当に神秘的で、感動的でした。その瞬間、至る所から奇声が上がってました笑。今回は曇天でしたが、これが晴天だったら明暗の落差はさらに激しかったのでしょう。去年、金環日食も見たけど、驚きレベルは皆既日食の方が大きいと思います。金環は地上が真っ暗にはならないので。

 

 

撮影にも観察にも色々反省点はあるのですが、それでも大満足です。これだけ完全に近い金環と皆既を2年連続で観察できたのですから。日本で観察できる一番近い次の皆既日食は、2035年9月2日の北陸から関東にかけてです。そのとき元気だったらこれも見に行きたいな。今からホテル予約しないと。

 

 

もう一つの皆既日食

さらに珍しいことが続きます。翌日の4月9日、日本からAustinに来られてたブログ友達の今村さんと一緒に食事に行きました。私が今村さんとお会いするのは今回が初めてです。なので私と今村さんが会合するのは、皆既日食レベルでレアなことなのです。2日連続、Austinで皆既日食が起こったと言ってもいいでしょう。

 

▼今村さんのブログです。


もう一つ驚いたのが、この日Austinにすごい雹(ひょう、hail)が降ったのです。私が今村さんとの待ち合わせ場所に到着した時に、周囲から「バンバンバン!!」とすごい音がするので、「何??」って思ったら雹が降る音でした。これまでも小さい雹は何度かAustinで経験したことあるのですが、このサイズはAustinで初めてでした。つまり私の人生で初めてでした。

 

▼私が撮影したhailが降ってくるところ


後でニュースを確認すると、Austin近郊でテニスボールサイズやベースボールサイズの雹が降ったと報道されている地域もあり、家や車に甚大な被害を与えたようです。まだ上の動画ぐらいのサイズはマシな方だったようです。

 

Austinの隣町Marble Fallsではテニスボールサイズが降った模様

私は普段、同じ会社の日本人以外で日本の方と接することがないので、今村さんとの食事は新鮮でした。長く米国で生活されていた方なので、いろんな経験談も興味深かったし、日米間に感じる違いなど共感できる点も多々あり、そういうお話をして楽しい時間を過ごしました。

 

兎に角この2日間「レアなことって重なるもんだなぁ」と不思議な気分になりました。

 

最後に

もし次、皆既日食が見れるとしたらもう写真は撮らない。皆既日食は自分の想像以上に神秘的な現象でした。神秘的だから写真に残したいんだけど、逆に、神秘的だから写真なんか撮らず、それを見て、感じたほうがいいような気がしました。

 

日食後、いろんな写真をネットで見たけど、あの不思議な感覚を表現できてる写真は1枚もありません。平面表現媒体(写真や動画を写すモニター)の限界を感じます。次回見るチャンスがあるなら、写真や動画はNASAに任せて、自分は見ることに、感じることに集中したいなと今更ながら思ったのでした。

 

それでは、またー