THE TIME YOU ENJOY WASTING IS NOT WASTED TIME

テキサス州オースティン在住の単身赴任者の記録

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【解説】雷(カミナリ)写真を撮ってみよう!

(Image Creatorにて作成)



 

はじめに

3月16日(木)の夜10時ごろ、私の住むAustinの上空を雷雲が通過しました。雷雲自体は月に1,2回は発生していると思うのですが、今回は久々に「質の良い雷雲」でした。

 

「質の良い雷雲」とは私の中で、写真に撮りやすい稲光を伴う雷雲のことです。久しぶりに稲光の写真を撮ったので、これを機に私の撮影方法、撮影条件などをまとめておきたいと思います。

今回撮影した稲光の1例です。合成なしの1枚もの。ISO320, 30mm, f/13, 8s
稲光って龍みたいに見えるから好き(子供か笑)。でも東洋の龍の起源は「絶対、稲光だ」と個人的には思っている。

 

撮影向きな「質の良い雷」とは

私は密かに稲光マニアなので雷雲が発生したら「今日のはイケるかな?」とまず様子を伺います。しかし、ほとんどの場合、撮影に向かない雷雲です。私にとって「質の良い雷」とは、以下の条件を満たすものです。

  • 夜(しかも私が起きている時間)に発生する昼間は雷が光っても写真撮影には不向きです。NDフィルター使えば、昼間でも撮れるのですが土日の暇な時に重ならないといけないので、まだやったことないです。逆に夜は適していますが、寝てるところを起きてまで撮ろうとも思わないです。なので夜7時から11時ぐらいに発生するのが理想です。

 

  • 雨が降ってない、あるいは小降りバルコニーに屋根はありますが、雨が降っているとカメラが濡れるので、バルコニーに降り込んでくるような雨を伴っていれば、撮影は諦めます。

 

  • 稲光が走る雷といっても、稲光が発生せずに、雲が全体的に明滅するだけの雷も多いです。そういう雷は写真向きではありません。高い頻度で稲光が走る必要があります。

 

雷雲自体は月1,2回は発生していると思いますが、上の3つの条件全てを満たす雷雲は年間1,2回だと思います。今週、この3つを満たす上質な雷雲が通過したので、慌ててカメラをバルコニーにセットしました。

 

これも撮影条件は同じ。トリミングしてるので縦構図になってます。

 

雷写真の撮影方法

●使用するレンズ
なんでもいいと思いますが、ある程度広角レンズのほうが稲光が写り込む確率が増します。私はだいたい30mmぐらいの広角レンズを使用しています。
 
●ピント
フォーカスはマニュアルにして、ピントは遠方の景色に撮影前に合わせておきます。オートフォーカスでは稲光にピントは合いません。
 
●シャッター速度、絞り、ISOの設定
カミナリの撮影は長時間露光撮影になります。長時間露光とは数秒以上の長さの遅いシャッター速度です。なので手持ちでは撮影できず、三脚が必須です。

 

私はだいたいシャッター速度を5〜15秒ぐらいに設定しています。5秒以上であれば、何秒でもいいと思いますが、それより短い時間はお勧めしません。短くすればするほど、写真枚数が多くなりすぎて、パソコンでの後処理が大変になります。絞りは10〜15ぐらいにしています。

 

今回は、絞り13, シャッター速度8秒の条件で固定にし、ちょうどよい明るさに撮れるようにISOを調整しました。何回か試し撮りしてISOを調整します。今回は、ISOは320に設定しました。
 
●撮影
シャッターは普通にシャッターボタンを押しても撮れますが、連続で撮影する必要があるので、通常はレリーズかカメラ本体のインターバルタイマー撮影機能を使用します。この機能を使うと、カメラが自動で連続で写真を撮ってくれます。

 

シャッター速度8秒だと、10分間で75枚連続で撮影することになります(実際は撮影間隔に数秒を設定するので75枚よりは少なくなる)。連続で何枚撮影するかはカメラ側で設定できます。

 

基本的には、撮影を開始した後はバルコニーにカメラ放置です。雨で濡れないようにだけ注意を払いましょう。撮影枚数を大きく設定しておき、カミナリ雲が去ったらカメラを回収します。カメラ回収後に、撮影された連続写真を確認して、稲光を含む写真が含まれてたら成功です。含まれてなければ、次回再チャレンジです。
 

今回のカミナリ雲は稲光、大量発生でした。昔の人は、これ見て想像上の生き物、龍をイメージしたんだと思う(定説ではインドの蛇神ナーガが龍のモデルと言われている)。

 

雷写真の撮影後の楽しみ方

もし稲光が写っている写真が何枚か含まれていたら、それだけで満足するのはもったいないです。せっかくなので、その連続写真を使って、比較明合成写真および疑似動画を作って遊んでみましょう。

 

私は擬似動画および比較明合成写真を作成するのにStartrails CreatorというMac用のアプリを使用しています。別にこのアプリでなくても、比較明合成ができるアプリであれば、なんでもOKです。

 

Startrails Creator

Startrails Creator

  • Tengu Software
  • 写真/ビデオ
  • ¥650

 

●比較明合成写真
2枚の写真を比較して、両方の写真の明るい部分だけを足し合わせて1枚の写真を作ります。稲光は暗い夜空に対して明るく写るので、稲光が写っている2枚の写真を比較明合成すると、1枚の写真に2つの稲光が足し算されます。これを何回も繰り返すと、「1枚の写真にどんどん稲光を足していくこと」ができます。

 

「比較明合成」って如何にも理系が好みそうなテクニカルタームな匂いがする単語ですが、別に難しくはありません。アプリに複数の写真を読み込ませれば、勝手に処理してくれます。星の日周運動写真も同じ仕組みで作れます。

 

今回撮影した稲光写真の比較明合成写真

 

比較明合成後の写真の稲光が濃いところをトリミングしたやつ。ほんとにシェンロン出てきそうー!!



●疑似動画
以下は今回の撮影写真から作った疑似動画です。理屈はパラパラ漫画と一緒です。静止画を撮影順に並べて動画風にしているだけです。

 

⇩105枚の静止画を連続で表示して擬似動画にしています。14分が20秒になっています。

 

⇩105枚の静止画を比較明合成で順番に足していってる過程です。同じく14分が20秒になってます。

 

23年4月6日追記

滅多にないと言いながら、4月6日にも雷雲が通過したので、写真に撮りました。この時はかなり遠方で稲光が走ってたので、広角じゃなくズームレンズで撮影しました。ズームレンズにすると雷が映り込む枚数は減ってしまいます。

 

雷が写ってた4枚。撮影条件は、ISO100, 155mm, f/13, 20sです。

 

雷が写ってたのは4枚だけだったのですが、これを比較明合成で1枚にしたので、載せておこうと思います。

 

上の4枚の比較明合成写真

 

最後に

今回(3月16日のほう)のカミナリ雲はかなり高頻度で稲光が走りました。ただ、すぐにカミナリ雲より低空に厚い雲が覆ってしまったので、実質15分ほどしか最適な時間はありませんでした。でも、質の良いカミナリ雲が現れるのは、年に1、2回なのでテンション上がります。

 

日本では(少なくとも私が住んでたところでは)、年1度すらこんな質の良いカミナリ雲は出現しないと思います。元々テキサスは日によっての寒暖差が日本より激しいです。カミナリは寒暖差の激しい不安定な気候が発生に必要な条件なので、テキサスの方がカミナリの観点からは好条件なんだろうな、と思います。

例えば、これは今日から向こう10日間の天気予報ですが、寒暖差が激しいです。体はおかしくなりそうですが、こういう不安定な気候がカミナリの発生には好条件に働くんだろうなと思います。

 

そんなに難しい撮影方法ではないので、機会があれば皆さんもチャレンジしてみてください。撮れたら楽しいですよ。

 

それでは、またー

 

⇩三脚使うと撮影の幅が広がりますよー