THE TIME YOU ENJOY WASTING IS NOT WASTED TIME

テキサス州オースティン在住の単身赴任者の記録

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【どこから来たのか?】ペッパーミル・パフォーマンス

(Image Creatorにて作成)

 

 

はじめに

日本、決勝ラウンド行きましたね!よかった!これでようやく私も米国でリアルタイムで楽しめる!来週、月火は定時退社ですよ。是非とも日本があと2回、勝つところを見たいですね!

 

そして、WBCと言えば、日本で一躍時の人となったカージナルスのヌートバー選手。彼が披露したペッパーミル(あるいはペッパーグラインダー)パフォーマンスが日本で大流行です。残念ながら、米国では日本戦を民放で放送してくれてないので、私はまだ侍ジャパンのペッパーミルパフォーマンスを見れてないです。しかし、どうして野球にペッパーミル???

 

こう言うのに出会ってしまうと、もう理由が気になって気になって、ほっとけなくなります。ネットで調べると、由来を教えてくれるサイトはいっぱい出てくるのですが、どれも出典が明記されてないし、読みながら「ほんまにぃ?それ、あなたの思い込みですよね?」といった印象を受け、イマイチ納得できませんでした。なので自分で調べた結果を以下に記します。

 

ペッパーミルパフォーマンス(メッツ編)

調べた限り一番最初にペッパーミルパフォーマンスを実施したのは、ヌートバーが所属するカージナルスではなく、ニューヨークメッツのようです。以下の記事(MLBの公式ページ)は2018年3月の記事ですが、そこに出てきます。

 

 

Why are they grinding salt and pepper as a celebration? Brandon Nimmo has an answer. "We're just adding a little seasoning to the offense," he told the NY Post. After putting up nine runs on Opening Day, the offense already seems to be well-seasoned.

 

なぜ、祝福に塩胡椒を挽くのだろう?ブランドン・ニモは「我々は攻撃に少し味付けしてるんだよ」とNYポスト紙に語っている。開幕日に9点を挙げた攻撃は、すでに十分すぎる味付けだ。

 

メッツは「攻撃に味付けする」と言う意味で塩胡椒を挽くパフォーマンスを行なったようです。しかし、このパフォーマンスは一過性のもののようで、その後、メッツで流行ったとか、定番のパフォーマンスになった、と言う記事は見つかりませんでした。なので、今回のヌートバーのパフォーマンスとは直接的には関係なさそうです。

 

ペッパーミルパフォーマンス(カージナルス編)

そして、ヌートバーが所属するカージナルスでペッパーミルパフォーマンスが最初に登場した記事(MLB公式ページ)が下記になります。これは2022年10月の記事なので、結構最近ですね。

 


When the Cardinals hit an offensive slump in July, several players and manager Oliver Marmol talked repeatedly about the team needing to “grind out at bats.” Somehow, that phrase morphed into the act of grinding pepper by twisting fists in opposite directions. Often, Cardinals players will celebrate big hits or home runs by making the pepper grinder motion back toward teammates in the dugout. Playful outfielder Lars Nootbaar was a big proponent of the “pepper grinder” celebration, and he was even given a pepper grinder as a birthday gift earlier in the season. For a lengthy stretch in August and September, the Cardinals kept that gifted pepper grinder in the dugout and used it to celebrate big moments, like Albert Pujols’ game-winning home run at Wrigley.

 

カージナルスが攻撃不振に陥ったとき、何人かの選手やマネージャーのオリバーは、チームに「grind out at bats」が必要だと繰り返し言いました。どういうわけか、そのフレーズは、拳を反対方向にねじる胡椒を挽く動作に変化しました。カージナルスの選手たちは、しばしばヒットやホームランを打った後、胡椒挽きの動作で歓迎します。陽気なラーズ・ヌートバー外野手は、胡椒挽きパフォーマンスが大のお気に入りで、シーズン前の誕生日に胡椒挽きをプレゼントされたほどです。8, 9月に亘り、カージナルスはその胡椒挽きをダグアウトに置いておき、勝利をもたらしたホームランなど、劇的な瞬間を祝うために使用しました。

 

カージナルスでこの動作が出てきた最初のきっかけは「grind out at bats」と言うフレーズのようです。"grind out at bats"という言葉の意味は調べても出てきませんでしたが、"grind out"と"at bats"はそれぞれ下記の意味があります。

 

"at bats"は 「バットで」と言う意味ではなく、野球用語で「打数・打席でと言う意味です。grind outはいくつかの意味があるようです。次のサイトからの引用です。

Grinds out - Idioms by The Free Dictionary

 

grind out
1. To produce something by crushing or pulverizing, as through a machine.The workers in here are grinding out flour from grain.
2. To make, create, or produce something perfunctorily and unenthusiastically. How many of these stupid articles do I have to grind out before someone at the magazine takes my work seriously?
3. To work hard to do or accomplish something.With hard work and a focus on defense, we should be able to grind out a victory against this team.It took hours to grind out a compromise, but we're finally in agreement now.
 
1. 機械を通して、砕いたり粉砕したりして、何かを作り出すこと
2. 何かを作ったり、生産することを、面倒くさそうに行うこと
3. 何かをするため、達成するために一生懸命になること

 

ここでは、3の意味だと思います。合わせると「grind out at bats」で「打席で一生懸命になる」ってことだと思います。作り出す・生産する、という意味もあるので、「点を取る」というニュアンスもあるのだと思います。なので、もう少し日本語らしくすると「打席でねばって点につなげる」っていう意味がしっくりくると思います。

 

「grind out at bats」っていう言葉自体は普通に米国野球でよく使われる言葉みたいで、検索かけると野球関連の記事でいっぱい出てきます。「grind out at bats」によりピッチャーを疲れさせる、とか、試合時間が長くなる、と言う記事を読みました。

 

語源的にも野球と相性がいいのだと思います。grindの語源は、ゲルマン祖語 grindana(臼で挽く)とのこと。臼で挽く行為は円運動。野球が点を獲るための進塁も円運動。なので、grindという単語、およびそこから連想されるペッパーミルを挽く動作と野球は親和性があるのだろうな、という気もします。

 

誕生の経緯をまとめると

つまり、ペッパーミルパフォーマンスが生まれた経緯は次の通りです。

  • 不調なチームに対してチームメートが「grind out at bats(もっと打席でねばって点を取ろうぜ)」と鼓舞した。
  • grindには「臼で挽く」「すりつぶす」と言う意味がある。円運動という野球との共通点もあり、それを聞いた誰かが冗談でペッパーミルを挽く動作をやった。
  • ヌートバー選手がその動作を気に入って、頻繁にやるようになり、チーム内で流行った。誕生日にペッパーミルをプレゼントされるほど気に入っていた。

と言う流れのようです。日本で例えるなら、「もっと、ねばって点を取ろうぜ!」と誰かが言った時に、「♪ 納豆、納豆、ねーばねば ♪」のアクションをやって、それに大ウケした選手がネバネバパフォーマンスする、って感じだと思います。そんなのないですけどね。納豆、プレゼントされても困りますしね。

 

なっとう(手遊び) - YouTube

 

最後に

grindに「身を粉にする」という意味もあるから、チームのために献身的に働くという意味で、ペッパーミルパフォーマンスをやっている、という説明も見かけたのですが、私はそれはあと付けの理由っぽいな、と思ってます。

 

野球選手の間で流行るんだから、もっと子供っぽい理由が発端でしょう(っていう言い方したら怒られるか笑)。もともとは言葉遊び的なところが発端であるように思います。

 

でも、ほんとはそんな由来なんかどうでもよくて、あと2試合、侍ジャパンのペッパーミルパフォーマンスがたくさん見れたらそれでいいのです!楽しんで応援しますよ!

 

それでは、またー

 

▼同じくMLB野球ネタです▼