THE TIME YOU ENJOY WASTING IS NOT WASTED TIME

テキサス州オースティン在住の単身赴任者の記録

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『くるみ割り人形』にどハマりした件

Nutcracker

(Image Creatorにて作成)

 

 

最初に

チャイコフスキーのバレエ作品『くるみ割り人形』(The Nutcracker)を奥さんと一緒に観てきました。私も奥さんも初めての鑑賞です。バレエ作品自体が初めてです。

 

 

私も奥さんも、なんとなくクリスマス・シーズンに上演される演目だな、という程度の知識しかありません。曲は有名なもののいくつかは「くるみ割り人形」の曲という程度には知っていますが、全部を通して聴いたことは一度もなかったです。ストーリーも全く知りませんでした。事前にネットである程度の知識を得てから、鑑賞に行ってきました。

 

結果、二人ともどハマりしてしまいました。めちゃめちゃ面白いです!こんなに美しくて、愛らしくて、幻想的な作品だったとは!「チャイコフスキー、天才やん!」と心の底から思いました。もっと評価されていいんじゃないかとも思いました(いや、絶対されてるんですけどね)。なぜ義務教育の音楽の授業で教えてくれなかったんでしょう?(私が授業を聞いてなかっただけ?)

 

奥さんは日本に帰っちゃったので、私はもう一度一人で観に行こかな、と真剣に思っているぐらいです。それぐらい良かったです。

 

 

『くるみ割り人形』とは

ネットで検索すれば、「くるみ割り人形」のストーリー説明はいっぱい出てくると思います。私なりにストーリーを一言で説明するとすれば、チャイコフスキー版「浦島太郎」です。漁師がいじめられている亀を助けて竜宮城に行くやつ。あれを洋風にして、クリスマス仕様にしたやつです。ただ、物語の原作はチャイコフスキーではなく、E.T.A.ホフマンという方のようです。

 

亀を助ける漁師役がクララという女の子です。クリスマス・イブのパーティーにて、ドロッセルマイヤーという"クセが強い"おじさんから、「くるみ割り人形」をプレゼントしてもらいます。真夜中、夢の中で、ねずみ軍団が襲ってきます。最後は、くるみ割り人形とねずみの王様の一騎打ちになるのですが、くるみ割り人形がやられそうになります。そこを間一髪、クララが助けます。

 

助けられたくるみ割り人形は王子の姿になり、クララをお菓子の国に招待します。道中、雪の舞う森を抜け、お菓子の国に向かいます。ここで取ってつけたように雪舞う森が登場します。思うに第一幕は子供が多く登場するので本格バレエとしての見せ場があまりないのです(その分、子供の可愛らしさは堪能できます)。この雪舞う森での雪片のワルツ (the snowflakes dance)が第一幕のバレエの1番の見どころです。ここまでが第一幕です。

 

第一幕が終わった時点で、一旦幕が閉じますが劇が終わったと思って帰らないように!(私は一瞬帰りかけた笑)。くるみ割り人形は二幕構成なので、休憩のあと続きがあります。

 

↑雪片のワルツ

 

第二幕では、「竜宮城での鯛やヒラメの舞踊り」ならぬ「お菓子の国でのチョコや金平糖の舞踊り」が始まります。

 

お菓子の国の女王は金平糖の精(このバレエにおけるボスキャラ的存在)なのですが、金平糖の精はじめ色々なお菓子の精が世界各国の踊りをクララに披露します。この第二幕の踊りと曲は、どれも最高に美しく、本当に夢の世界のようです。最後に、もとに戻ったクララは目を覚まし、くるみ割り人形を優しく抱きしめる、というストーリーです。浦島太郎に例えましたが、浦島太郎のように、歳は取りません。優しいエンディングです。

 

ストーリーはかなり、はちゃめちゃ感がありますが、だって夢ですから。この荒唐無稽な感じが本当に夢を見ているような感じにさせるのだと思います。

 

なぜクリスマス・シーズンに上演されるのかすら知らなかったのですが、くるみ割り人形がクリスマス・プレゼントだったんですね。私もお菓子の国に連れて行ってもらいたくて、人生で初めて買いましたよ。くるみ割り人形。毎晩連れて行ってくれることを待ってるんですけど、まだ連れて行ってもらってません。

 

我が家のくるみ割り人形。大き方はTargetで、小さい方は劇場の売店で買いました。大きい方はちゃんと口が動きます。でも、くるみは入らないかな。ピスタチオぐらいなら割れると思います。ピスタチオ割り人形です。

 

会場の雰囲気

会場はLong Centerというところでした。12月3日の初回公演に行ってきました。バレエはBallet Austin、オケはAustin Symphony Orchestraでした。Austinにこんな本格的なバレエ団やオーケストラがあるって初めて知りました。この日以降、いろんなバレエをYoutubeで見ていますが、Ballet Austinはかなりのレベルなんだと思いました。

 

 

会場にはおめかしした子供がたくさんいて驚きました。女の子は100%ドレスを着ています。大人は、男性は普段着が多かったですが、女性はちょっと他所行き感ある服装している方が多かったように思います。私は雪男がプリントされているシャツを着ていってしまったので、ちょっと場違いでした。雪男も恥ずかしそうにしてました。服装は注意しましょう。

 

このバレエを見て分かったのですが、子供のバレリーナ/バレリーノもたくさん登場します。加えて、ストーリーはクリスマスのお話だし、子供でも分かるあらすじなので、子供連れの家族がたくさん観に来るんですね。

 

会場出たとこの雰囲気。お土産コーナーに人がいっぱい。

 

日本でバレエを観に行ったことがないので、比較できないですが、お酒やポップコーン、つまみ(チーズなど)を売店で売っており、劇場内でも飲食できることに驚きました。劇場の外は映画館の匂いと一緒でした。米国人は大人でもポップコーンがないと、じっと座れないのかもしれません。

 

小さい子供が多いので、上演が始まっても、しばらくあちこちで子供の話し声やガサガサする音が聞こえました。始まってすぐにトイレに行きたがる子供もいるし。まあ、そいういうのも込みで「くるみ割り人形」なんだろうなと思います。クリスマスのお話なので、おおらかな気持ちがなにより大事です。

 

目の前に座ってた男の子。我々夫婦のクリスマス気分を盛り上げてくれました。

アメリカの人はくるみ割り人形が大好きみたいで、主要なバレエ団の年間チケット収入の約4割が年末に開催されるくるみ割り人形だ、という記事を見ました。米国ではそれぐらいバレエと言えば、くるみ割り人形なんですね。

 

もう一度見たいポイント

予習が不十分だったので、見終わった後で、そういうことだったのか!とか、あそこもう一度確認したい!といったところが何箇所かあります。

 

●ドロッセルマイヤー

クララが夢を見て体が小さくなる時、クリスマスツリーが大きくなることで、クララが小さくなることを表現します。ただ、これを夢を見たと解釈するのか、ドロッセルマイヤーの不思議な力と解釈するのか、よく分かりません。演出次第だと思います。

 

ドロッセルマイヤーは奇術師のようで、子供たちに手品を披露するシーンや人形を操るシーンがあります。また、不思議な力を持っているかのような演出もあります。今回の演出がどうだったのか、もう一度見返したいと思ってます。

 

●金平糖の精

事前のWikipediaの予習で、金平糖の精というのが出てくる、というのは知っていました。きっと金平糖のようにカラフルな七色の衣装の精が出てくるんだろうと思ってたら、全然違いました。普通に白いドレスです。金平糖感はゼロです。七色のドレスを待ってても永久に出てこないので、注意が必要です(そんなん私だけかな笑)。

 

不思議に思って、少し調べてみると日本語版のwikipediaでは「金平糖の精」と書かれていますが、英語版のwikipediaでは「Sugar Plum Fairy」と書かれています。sugar plumは砂糖がけのお菓子なので、白ドレスで間違いないのかもしれません。sugar plumと完全にイコールのお菓子が日本に無いので、金平糖と訳しちゃったんですね、きっと。ついでにドイツ語版wikipediaでは「Zuckerfee」と書かれていました。Zuckerが砂糖で、feeが妖精の意味です。ということで、やっぱり白色をイメージする和訳がいいと思うんですよね。日本の場合「ラムネの精」にしましょう!

 

いずれにせよ金平糖の精のバレエはどれも圧巻です。素人が見ても、一番すごい人(プリマっていうのかな)がこの役をやるんやな、ということがわかります。

 

●世界各地の踊り

クララを歓迎するバレエとして、お菓子の国では、スペイン、アラビア、中国、ロシア、フランスの踊りが披露されます。でも私の予習が不十分だったので、スペイン(カスタネットの音でわかる)、アラビア(衣装がアラジンと魔法のランプのそれ)は分かったのですが、恥ずかしながら中国、ロシア、フランスは見てる時はどの国なのかよく分からなかったのです。なので、もう一度見たい。

 

ちなみに映画ホームアローンで使われている有名な曲はこのロシアのダンスで使われている曲です。ソフトバンクのCMではフランスの曲(葦笛)がかつて使われてました。

 

●Mother Ginger & Bon Bons

世界各地の踊りが終わったら登場します。Mother Gingerと呼ばれる小林幸子のような巨大衣装のお母さんが登場し、スカートの中からBon Bonsという子供たちがわらわらと飛び出します。演出にも依るのかも知れませんが、我々が見たやつでは、ちょっとお遊びタイムでした。

 

Mother Gingerはバレエダンサーではないようです。我々が見た回では、どこかのカフェのオーナーとパンフレットに書いてました。パトロンなのかな。上演回ごとに人は変わるようでした。動作はバレエらしからぬおちゃらけで、会場は爆笑でした。こういうおちゃらけポイントがあるのも、愛されている理由の一つでしょうね。

 

最後に

兎に角、良かったです。バレエがこんなに面白いものだと知りませんでした。アラフィフのおじさんをワクワクさせるものなんて、もうこの世には無いと思ってましたが、あるもんですねぇ。今は夜な夜なYoutubeで動画を探したり、apple musicでいろんなオーケストラの楽曲を聴いてます。第一幕の序曲を聴いた段階でワクワクが止まりません。

 

劇場では、子供たちもたくさん鑑賞してたのですが、バレリーナの動きに合わせて手が動いてしまう女の子が近くに座ってて、本当に可愛かったです。子供の頃から、こういうものに触れられるこの子達は幸せやな、と思いました。

 

日本でクリスマスシーズンにどの程度くるみ割り人形を上演しているのか、調べたこともないのですが、機会があればみなさんぜひ鑑賞してみてください。きっと幸せな気持ちになれると思います。長く愛されているのは、単にクリスマスのお話というだけではないようです。日本に帰ったら、年末には毎年奥さんと観に行きたいなと思います。

 

それでは、またー

 

▼後に、『コッペリア』も鑑賞しましたよー▼