はじめに
以前、ビール作成キットを購入してビール作りにチャレンジした経緯を報告しました。
ご覧になってない方はよろしければ、どうぞ。
前回は、作り始めから飲むまでを全4回に分割して報告したのですが、今回は2回目のビール作りですので、1回目からの変更点・工夫点を中心に、作り始めから飲むまでを1回で書ききりたいと思います。
前回からの変更点・工夫点
●麦汁生成時
初めて麦汁を生成したとき、沸騰させた麦汁の温度を十分下げてから(23℃以下)イースト菌を投入する必要があるのですが、なかなかその温度まで下げられず、23℃より少し高い温度でイースト菌を投入してしまいました。結果、一次発酵が進まないという事態になったので、今回は何としても23℃以下まで低下させたいと思ってました。
今回、麦汁生成の過程は奥さんと一緒にやったのですが、奥さんに「ジップロックに氷入れて、麦汁に漬けたら?」というアイデアをもらい、それを採用しました。沸騰後の麦汁が入った鍋を氷水を張ったシンクに置いて、さらに麦汁の中に氷入りのジップロック(事前に消毒しておく)を入れました。言われてみれば、至極当然の策ですが、なかなか一人では思いつかないものです。
流石にこれは効果覿面。前回室温から低下しなかったのが嘘のように一気に23℃以下まで行きました。23℃まで低下したことを確認した後にイースト菌を加え、carboy(麦汁を入れる瓶)を多少振って、保管しました。翌日には活発に発酵を開始していました。
●二次発酵時
一次発酵が終わったら、ボトル詰めして、そこで二次発酵を開始します。二次発酵は、ビールに炭酸を付加することを目的としています。しかし、前回は思ったようにビールに炭酸を付加することができませんでした。はっきりした原因は分からないのですが、500mlのボトルに350mlの麦汁しか入れなかったので、二酸化炭素が十分に麦汁に溶け込まなかったのかなと想像しました。なので、今回はなるべく瓶いっぱいになるように麦汁を入れました。
プライミングシュガーとして、前回は普通の砂糖(粉末)とメイプルシロップ(液体)を使用しましたが、今回はコーンシロップ(液体)とメイプルシロップ(液体)を使用しました。
前回は砂糖もメイプルシロップも十分な炭酸感は得られなかったのですが、それでも砂糖よりメイプルシロップの方が泡のきめが細かかったので、液体状の方が泡の質が良いのかと思い、今回はコーンシロップとメイプルシロップを採用しました。
●試飲時
ボトリングから2週間後に飲み始めました。今回は、しっかり発泡が得られたボトルとやはり弱い発泡しか得られなかったボトルとがありました。全く同じ条件(メイプルシロップ8g)でも1本は発泡が強く、もう1本は弱かったので、発泡感を左右するのはプライミングシュガーだけの問題ではなさそうです。
ボトル詰めするときにビール酵母(carboyの底に沈殿している澱)を混ぜる量に左右されるのか、とか、シロップと麦汁を撹拌する程度に依るのか、とか、スイングボトル自体二酸化炭素が抜けているのか、とか色々思うところはあるのですが、現時点で『これが原因!』と突き止められていません。
いずれにしろ、この二次発酵の工程はかなりノウハウがいる繊細な工程のようなので、次回は後述する別の手法に変えようと思っています。
ちなみにアルコール度ですが、麦汁生成時の糖度は17.8%、二次発酵前の糖度が7.0%でした。これはアルコール度に換算すると5.98% (Alcohol By Volume)になります。実際は二次発酵でさらにアルコールを生成しているはずなので、これよりさらに多少アルコール度は高くなっているものと思われますが、二次発酵時はボトルごとにシロップの量や種類を変えているので、もう測定していません。
ナチュラルカーボネーションと強制カーボネーション
麦汁に発泡を加える工程をカーボネーション(carbonation, 炭酸化の意味)と言います。ナチュラルカーボネーションとは、ビール酵母による糖の分解で炭酸を加える手法で、今私がやっているのがそれです。
カーボネーションの手法にはもう一つあって、強制カーボネーションと言う手法があります。炭酸ボトルを取り付けて、強制的に二酸化炭素を注入して炭酸を加える手法です。普通の水に強制的に二酸化炭素を注入してスパークリングウォーターを作る装置(Soda stream/Soda makerなど)がありますが、それのビール用のやつです。
ビールの場合、ケグ(keg)と呼ばれる装置で麦汁に強制的に二酸化炭素を注入することができます。次回はケグを購入して、これで炭酸化をしてみようと思っています。
ケグを使うと強制的に二酸化炭素が入れられる以外に、二次発酵の時間(約2週間)が必要なくなるので、1次発酵終わったらすぐ飲めると言うのも魅力です。
例えば、こんなやつ。ビールを冷やすためには、ケグごと冷蔵庫に入れる必要があるため、その点が難点かもしれません。
おまけ:果実酒作り
以下の記事でマンゴー酒を作ってみたお話をしました。しかし、ビール酵母を使ったので、ビール感が強くなりすぎて、果実酒としてはイマイチだったのです。
今回は、ワイン用のイーストを使用し、どんな味になるか試してみました。ジュースは前回と同じマンゴージュースを使用し、イースト菌は写真に写っているワイン用のイーストを使用しました。イースト菌は5ガロン用と書いていたので、500mlの体積比率で使用しました。一次発酵、二次発酵と分けずに、いきなりボトルにイースト菌とジュースを投入し、栓をしました。
このまま1週間常温に放置してから、冷蔵庫で冷やして飲んでみました。以下が開栓した時の写真です。勢いよくポンッと蓋が開いたので、十分二酸化炭素が生成されたようです。
元々の(発酵前の)糖度が10.2%、開栓時の糖度が4.5%だったので、アルコール度に換算すると3.04%になります。しっかりとアルコール飲料になったようです。
恐る恐る飲んでみましたが、なんとまぁ、めちゃめちゃ美味しかったです。ちゃんとマンゴー酒になっています。ビール酵母の時とは比べ物にならない美味しさです。もとは日本でいうネクターみたいな感じでかなり甘ったるい飲み物なのですが、適度に甘さが抜けて、発泡感もあり、なおかつマンゴーの味もしっかり残っているので、上出来です。
適切なイースト菌さえあれば、果実酒ってこんなに簡単に作れるんですね。もちろん糖を分解して、アルコールにするので、ある程度の糖を含んでいるものを選ぶか、糖分が低ければシロップを添加してやる必要があると思うのですが、それでも、ビールより圧倒的に少ない手間で美味しいお酒が作れます。また色々な果物ジュースを買ってきて果実酒作りも並行して試してみようと思っています。
最後に
いやー、やっぱりビール作り、果実酒作りは楽しいですね。一つ分かると、一つ分からないところが出てくる、と言う理科の実験、引いては自然科学の勉強をしている気分になります(よく言い過ぎか)。
ビール作りの工程を知り、自分で試行錯誤することは、人類が何百年も工夫してきた歴史を早送りで再生しているような気分になります。3回目はさらに上手に安定してできると良いんですけどねー
それでは、またー