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テキサス州オースティン在住の単身赴任者の記録

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話題のAI画伯『Midjourney』使ってみた

 

Midjourneyとは

巷でMidjourneyというAI画伯が話題になっています。自然言語を入力すると、その言葉から連想する絵を描いてくれるというAIです。私も早速無料版を試してみましたが、正直、驚きの一言です。しかも、まだこれβ版(正式リリース前のお試し版)です。以下にMidjourneyが描いた絵のサンプルをいくつかご紹介します。

 

Midjourneyを使うためには、サイトで登録が必要です。使うまでの手順はMidjourneyでググってみてください。いっぱい指南してくれるサイトが出てきますので、その手順に従ってください。私のブログでは、登録の手順には触れていません。

 

Banksy風とかMichelangelo風とか

最近、私はバンクシー展やミケランジェロのシスティーナ礼拝堂天井画展に行ったこともあり、まず試しに彼らを題材にAIに絵を描かせてみようと思いました。

 

キーワードを入力すると、そこから連想される絵をAIが4つ出力します。絵が出てくるまで30〜60秒ほどです。以下の絵は『beer, night view, banksy style』(ビール、夜景、バンクシー風)と3つの言葉を入れただけです。

 

入力する言葉はカンマを使って単語で区切ってもいいし、文章を入れても構いません。自由に文字を入力できます。入力できる最大文字数に制限があるのかどうか知りませんが、もっとたくさん入れることもできます。兎に角、入力された自然言語からAIがイメージした絵を4つ出力します。

 

beer, night view, banksy styleと入力した結果

なんかいきなりバンクシーっぽい絵が出てきました。気に入らなければ、やり直しボタンがあるので、それをクリックすると、また異なる4つの絵を出してきます。2回目にアウトプットされた4つの絵が以下になります。

 

beer, night view, banksy styleと入力した結果、2回目

4つの中で気に入ったものがあれば、それをクリックするとより大きく、さらに詳細にした図を出力してくれます。

 

上の4つのうち右下の図をクリックし、詳細図を得たのが下になります。うーん、確かにバンクシーっぽい気がする。これがどこかの街の繁華街の壁に描かれてれば、「バンクシー来た?」ってざわつきそうです。

 

beer, night view, banksy styleの右下を選択し、詳細図を出してもらった

 

続いてミケランジェロ風の絵です。先ほどと同じく『beer, night view, Michelangelo style』(ビール、夜景、ミケランジェロ風)と入れました。ミケランジェロは彫刻の方がネットの検索ではたくさん出てくるので、ミケランジェロ風と言われてもMidjourneyは困ったのではないかと思うのですが、やはり30秒ほどで下の4つの絵を出してきました。

 

beer, night view, Michelangelo style

下の二つはなんか手抜いたミケランジェロですね。疲れちゃったかな笑。右上のは良さそうです。右上の図を選んで詳細図を出力させたのが下になります。

 

beer, night view, Michelangelo style

これがミケランジェロ風なのかどうかは置いといて、作品としてビビるレベルやと思います。たった3つのキーワードから、これだけ意味あり気な作品が作れるというのに驚愕します。(実際には、なんの意味もないのですが)

 

適当なキーワードで

Midjourneyで遊んでると、かつて好きだったテレビ番組『ざこば・鶴瓶らくごのご』を思い出しました。全く関連性のないキーワード3つを客席からもらって、そのキーワードを盛り込んだ落語を二人が作る、という番組でした。

 

そこで『outer space, hamburger, butterfly』(宇宙、ハンバーガー、蝶)と入れた結果が下の図です。

outer space, hamburger, butterfly

かなりの無茶ぶりだと思うのですが、文句も言わず30秒ほどで出力してきます。左上のやつなど、かなりいい線行ってます。単に関連のないものを持ってきて足し合わせてるだけではなく、足し合わせた後に『organizeしてる』(*1)ってところが凄いです。

*1: 「構造化する」という意味ですが、「しっくりくる」という意味で使いました。

 

ハンバーガーが載っているお皿がちょっと土星の輪っかっぽいのが、ウケます。落語に通ずる上手さを感じます。当時のざこばの落語より、遥かにorganizeされてる感があります笑

 

次は日本っぽい絵を描いてみよう(描かせみよう)と思い、『Japan, kyoto, maiko』(日本、京都、舞子)と入れてみました。

Japan, kyoto, maiko

なんかアメリカ映画の日本のシーンを見ているようですが、それでも雰囲気ある絵が出来上がってます。右上の絵を選択したのが下になります。

 

Japan, kyoto, maiko

雰囲気ある作品になりました。映画のワンシーンみたい。もう部屋に飾っててもおかしくないレベルの出来です。AIのくせに(AIだから?)、主体と背景を区別し、背景をぼかすというのは得意なようです。この絵、結構好きです。

 

デザイン面での利用

このMidjourneyは自分の作品だけではなく、他人の作品も見れます。リアルタイムで他の人がどんなキーワードを入れて、どんな作品が出力されているかが見れるのです。それを眺めてると、デザイン系で使っている人も多いです。

 

確かにたった30秒程度で4つの案を出してくるので、人間がデザイン案を考えるよりも圧倒的に効率がいいように思います。以下いくつかサンプルです。

 

football jersey design

 

この方はサッカーのジャージをデザインしたかったようです。これを30秒足らずで出してくるのだから、自分でデザインするよりセンスいいのが出てくるまで何回でもやり直す方が効率的だと思います。次は腕時計のデザインです。

 

art deco wristwatch, highly detailed, hyper realistic

アール・デコ(art deco)を入れてるのがポイントですね。こちらも人間がデザイン考えるより遥かに効率的だと思います。普通にオシャレな時計デザインだと思います。次は靴のデザインです。

 

shoe, Leonardo da Vinci sketches, engineering drawing

 

こちらはレオナルドダビンチ(Leonardo da Vinci)を入れてるのがポイントです。こんな靴あったら、買うかも!みたいなデザインが出てきてますね。もうこれだけを見ても「デザインする」という土俵では、人間に勝ち目はないと私は思います。AIがデザインしたモノを人間が一生懸命、形にするという時代になるのかな。

 

私はとある工業製品の設計をやります。図面に落とし込む構想を練っている時が一番楽しい時間なのに、一番楽しく創造的な工程がAIに勝ち目がないというこの残酷な現実。これら作品の著作権も気になるし、意匠登録、実用新案登録できそうな案もいっぱい出しそうだから、それらの権利の行方も気になります。これから、登録する人いっぱい出てくるでしょうね。各業界のデザイナー・設計担当のみなさん、ピンチですよー!!!

 

芸術・デザインの未来

芸術面も気になるのですが、芸術面はいくらパソコンの画面上で美しい絵を描こうとも、人の心に訴えかける力は、実際のキャンバスに描いた作品には勝てないと思うのです。ということは、AIが描いた絵を下書きとして絵の上手い人がキャンバスで描いたら、どうなるんでしょ?もはや芸術ってなんなのか分からなくなってきますね。

 

上で見たように、AIはそれなりにorganizeされた絵を出力しています。だからと言って、なぜそのようにorganizeしたのか言語化することはまだできないと思うのです。過程はブラックボックスです。そこが言語化できるようになってくると、いよいよ芸術面でも人間は追い越されるのかもしれません。

 

私は、それ以上に先に書いたようにデザインの工業利用が気になります。しばらくの間は、AIだけでは完璧なデザインは出せないでしょうから、AIデザインを利用するにしても、人が手を加える必要があると思います。コスト面・安全面・使い易さなどデザイン以外にも考慮に入れなければならない要素はいっぱいありますから。

 

しかし、そのような他の要素もそのうちAIは学習して、取り入れてしまうでしょう。そうなってくると、いよいよ人間の出番が無くなってきますね。その時、世界はどんな感じになってるんでしょうねー

 

最後に

ある関連記事を読んでいて、『このような技術はArtificial serendipityと言える』と書いているものがありました。Artificial serendipity(人工的な偶然のひらめき)って、うまいこと言いますね。

 

"Some researchers are calling these “Artificial serendipity”, systems that maximize the opportunity for serendipity, opening up the range of creative capabilities beyond the classical methods."

 

AIに人間が敵わない領域があることは素直に受け入れ、あとはそれをどう上手く活用するかを考え、AIに利用される側ではなく、なんとか活用する側に先回りしたいですね。

 

それでは、またー

 

⇩コチラは絵ではなく、文章作成のAIです。コチラもすごい!