本日の目次です。
はじめに
私は米国で単身赴任して暮らしていますが、決して英語は得意ではないです。英語が得意なので米国任務の命を受けたのではなく、業務の内容的に私が一番都合がよかったということです。
米国に来る前のTOEICで700点弱ぐらいです。大卒の平均点よりは上だと思いますが、米国で暮らすには心許ない点数だと思います。
なので英語ではずっと苦労していますが、米国での生活そのものは全然嫌ではありません。家族には常に会いたいと思っていますが、それさえなければ、日本よりこっちのほうが性に合っていると思うぐらいです。流暢にしゃべれなくても、こちらの方と触れ合うのはとても刺激的で楽しいと感じます。
しかし、コロナ禍になってからは、会社はほぼ在宅勤務になってしまい、ネイティブの方と面と向かってお話することはほとんどなくなってしまいました。
仕事で会話するときはほぼWeb会議です。もともとそんなに英語が得意でなかったこともあり、Web会議をしていると、「へぇー、そんな言い回しがあるのかー」と新しい発見がしばしばあります。
このような発見は、異文化のより深いところを垣間見たような気分になり、英語が苦手というところとは別次元で楽しいなと思います。
このシリーズでは(シリーズになるかどうか分かりませんが)、単純に新しい単語を覚えた、っていうのではなく、「こんな言い回しや表現があるんやー、ほほー」と感心したものをご紹介したいと思います。
注)途中、トンボの写真が挟まれますが、特に本文と関係ありません。トンボが好きなのです。全て私がテキサスで撮影したトンボです。
reinvent the wheel
●意味:
分かりきったことをやり直す。また一からやり直す。
直訳は「車輪を再発明する」
●例文:
You don't have to reinvent the wheel for this project.
このプロジェクトをわざわざ一からやり直す必要はない。
●出てきた場面:
会議では、製造工程の一部を変更するだけなのに、全工程を見直すのは車輪の再発明だよ、といったニュアンスで使ってました。
●解説:
名詞形はreinvention of the wheelで、同じく直訳は「車輪の再発明」。
背後には「無駄な労力、時間の無駄」という意味合いを含みます。車輪の再発明という言葉は、日本語としても使われる慣用句のようでウィキペディアに解説が載っています。すでに発明されていることを知らずに、また一から発明しようとする姿を皮肉った言い方です。
関連後として、reinvent the square wheel(四角い車輪の再発明)という言葉がありました。車輪を再発明したうえに、既存のものよりも役に立たないものを作ってしまう、というさらにワンランク上の皮肉です。
ううっ、これって製造業に携わる身として、耳が痛い言葉です。
振り返ると、四角い車輪や、三角の車輪の自転車がいっぱいあるような気がします。
一から作業を始める、という意味では、もっと頻繁に耳にするのにfrom scratchという表現があります。scratchはかすり傷という意味ですが、スタートラインという意味もあるので、from scratchで「最初から」とか「一から」という意味になります。こちらは「無駄な労力」というネガティブなニュアンスはありません。
rule of thumb
●意味:
名詞としては、「経験則」とか「正確ではないけども実用的な方法」を意味します。形容詞として、「大体の目安の」という意味もあります。直訳は「親指のルール」
●例文:
A rule of thumb is that a broker must generate sales of ten times his salary.
経験則として、仲介業者は給与の10倍の売上をあげなければならない。
●出てきた場面:
Webである方にパソコンのアプリケーションの使い方を教えてもらってました。私の名前はこちらの方にとっては発音が難しいようで、私は米国の会社でサムと呼ばれています。
で、教わっている最中に「これはサムのルールやから、こうすることになってる」という説明を受けて、きょとんとしました。聞いてみると、私のことではなく、経験則という意味でした。
●解説:
語源には諸説あります。中世の英国に、親指の太さ程度の棒でなら妻を叩いてもよい、という法があったという説(なんか嫌な法律ですけど)。親指をなめて空中に立て、風の方向を知ったという説。お酒の醸造の際に、樽に親指を突っ込んで温度を測ったという説、などなど。
親指の活用方法がたくさんありすぎて、これ!と一つには特定できないみたいです。
私は以前、鉄鋼メーカに勤めていましたが、熱間加工された直後の金属の上にツバを垂らして、それが「ジュッ」っていう音を聞き分けることで金属の温度が分かる、と言う現場のおじさんがいました。そういうのがrule of thumbなんでしょうね。
製造現場に行けば、rule of thumbだらけだと思います。最近は手順書だ、作業標準だとうるさいですが、結局、物作りってrule of thumbで成り立ってるんですよねー
box out
●意味:
(ある状況から誰かを)排除する
●例文:
The entire board of directors is trying to box me out of the decision-making process.
えらいさん達が私を意思決定の場から排除しようとしている。
●出てきた場面:
会議中に、「この製品が早く世に出たら、他社を締め出すことができる」という発言があり、そのときにbox outという表現が使われました。
●解説:
box outはバスケットボール用語です。相手チームにリバウンドを取られないように、体を割って入れる行為をbox outといいます。バスケットコートのゴール下のペイントエリアが長方形なので、boxという表現なのでしょう。box outはそこから、誰かを締め出す行為を表現するようです。
米国には、このようなスポーツから派生した言い回しが数多くあります。アメフト、野球、バスケ由来の言い回しをたまに会議中にも耳にします。
日本語でも相撲から派生した言葉として「軍配が上がる」「胸を借りる」「序の口」とかいろいろありますからね。こういうスポーツ由来の言葉は文化を反映してて面白いし、日常会話で使えるとかっこいいですよね。
rule out
●意味:
無視する、除外する、不可能にする
●例文:
Police said arson could not be ruled out.
警察は、放火の可能性も無視できないとしている。
●出てきた場面:
会議のどんな場面で使われたのか覚えてないです。rule of thumbとbox outを書いてたら、そういえばrule outってのもどこかで聞いたな、と思い出しました。
●解説:
上のbox outと意味的には似てますが、box outが体を割って入れ、邪魔するという行為を通して除外しているのに対して、rule outは、複数ある可能性の選択肢のなかから取り除くって感じでしょうか。
ネイティブの方って、口語では句動詞(動詞と副詞/前置詞の組み合わせ)を多用する傾向にあると思います。たとえば、このrule outだって、会話のなかでexcludeとかeliminateって言ってくれたら、まだ理解しやすいのですが、rule outって言われると聞き取れても理解できない、っていう状態になってしまいます。
きっと小難しい一文字の動詞より、簡単な動詞と副詞/前置詞で構成されている句動詞のほうが、口語には向いてるんでしょうね。
意味はわからないけど聞き取れた単語は、あとで調べるようにしてるのですが、句動詞だけでもキリないなー、と思ってます。
最後に
本日は、この4つです。いかがだったでしょうか?
日本で英語を勉強してても、なかなか目にすることはない単語ではないかと思います。
またそのうちシリーズ2を書いてみたいと思います。
それでは、またー
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2022/02/03 追記: シリーズ2書きました。よろしければこちらも是非!