はじめに
この週末、夫婦でクリスマスキャロル(Christmas Carol)のミュージカルを鑑賞してきました。奥さんは日本で劇団四季を観に行ったことがあるらしいです。私はAustinで以前観たメリーポピンズのミュージカルが初めてでした。お互い2度目のミュージカル鑑賞でした。
Christmas Carolとは
「クリスマス・キャロル」は、イギリスの作家チャールズ・ディケンズ(Charles Dickens)によって書かれた短編小説です。Wikipediaの解説によると次の通りです。
『クリスマス・キャロル』(原題:A Christmas Carol)は、英国の文豪チャールズ・ディケンズの中編小説。1843年12月19日に出版[1]。「クリスマス・ブックス[2]」の第1作。
本作品は、守銭奴のスクルージがクリスマスに過去・現在・未来を旅する超常的な体験をすることで改心する物語。クリスマス・ストーリーの中では最も有名であり、広範囲な読者を獲得し、ディケンズを世界的に有名な作家とした記念碑的な小説である。
ただし、carolはそれ単体だと「讃美歌」と言う意味なのでChiristmas Carolでクリスマスを祝う歌全般を指すこともあります。稲垣潤一の有名なあの歌はディケンズの小説ではなく、クリスマスを祝う歌の方を意味します。
Christmas Carolのストーリー
私の子供が小さい頃、クリスマス・キャロルの絵本(ドナルドダックのおじさんのやつ)を持ってたので、なんとなくのストーリーは覚えているのですが、怪しいので夫婦でNetflixのアニメで予習してから臨みました。
物語は、冷酷で守銭奴のおじいさんエベネーザ・スクルージ(Ebenezer Scrooge)が主人公です。スクルージは、クリスマス・イヴの夜にかつての金貸業の共同経営者であったマーレイの亡霊と出会います。その後、「過去」「現在」「未来」の三つの精霊が順に訪れ、スクルージに自身の過去、現在、そして未来を見せます。
- 過去の精霊は、スクルージが孤独な少年時代と青年時代を過ごしたこと、そして恋人から別れを告げられたことを見せます。
- 現在の精霊は、貧しいながらも明るい家庭を築いているクラチットの家族や、甥のフレッドの姿を見せます。
- 未来の精霊は、スクルージが死んだ後の世界を見せます。
これらの体験を通じて、スクルージは自分の人生の空虚さに気づき、人間らしさを取り戻し、思いやり溢れる人に変わるという内容です。最終的にはクリスマスのハッピーな雰囲気が存分に味わえると同時に、人間が変わるのに年齢は関係ないんだなと気付かされるストーリーです。
ZACH TheatreのChristmas Carol
劇場はAustinにあるZACH Theatreでした。演者もここの劇場の専属の方達のようでした。年間を通していろんな演目をやっているようですが、この時期には毎年Christmas Carolを演目にしているようです。
下の動画はZACHのホームページにあった今回のミュージカルの紹介動画です。歌ってるのは現在の精霊役のParis Bennettです。この方、若かりし頃にアメリカのオーディション番組 American Idol (season 5)にてTop5まで残ったファイナリストです。
ステージは最高に良かったです!夫婦で泣き笑いしながら観てました。ミュージカルになったアメリカ版吉本新喜劇を観てるような感じでした。いや、泣きもあるってことは松竹新喜劇でしょうか。とにかく歌もダンスも想像してた以上で「クリスマスキャロルってこんな楽しいの?」って思いました。
クラチット家の末っ子が亡くなることは知ってたのですが、家族が悲しむシーンは涙無くして見れませんでした。逆に過去の精霊や現在の精霊は滑稽なキャラなので、彼らとスクルージの絡みは笑いがあるシーンも多いです。
出演者は当然ですが、皆さん歌がめちゃめちゃ上手いです。主要配役は黒人の方が多く、マーレイ(亡くなった元上司)役のRoderick Sanford、過去の精霊役のKenny Williams、現在の精霊役のParis Bennettは黒人の方で、その歌は圧巻でした。この御三方はApple Musicにもその名がありました。
使用されてる曲は、オリジナル曲はじめクリスマスの定番曲もあれば、ソウルミュージックや最近のヒット曲など様々でした。聞いたことあるけどタイトルが分からないという曲がいくつかあって、今すごくモヤモヤした状態が続いています。
会場は小さい子供も多かったです。女の子はみんなクリスマス仕様におめかしされててほんとに可愛いです。服も髪飾りも全部クリスマス仕様。もう会場自体がすごく幸せな空気に包まれます。アメリカのクリスマスシーズン、もうほんとに大好き。
マーレイ役のRoderick Sanfordさんが歌ってる動画。今回のミュージカルとは関係ない歌ですが、あまりにもええ声なので聞いて欲しくて。
Christmas Carolにまつわる話
●日本版Christmas Carol
終わってから、奥さんと日本でこのミュージカルをやるならどんな役者を当てるかで盛り上がりました。今のところ我々の希望は以下の通りです。
- スクルージ:1番の希望は三國連太郎ですが、すでにおられないのでここは息子の佐藤浩市にお願いしましょう。
- マーレイ:ちょっと若すぎるという意見もあるのですが、私は鈴木亮平にお願いしたいです。
- 過去の精霊:今回見たキャラに引っ張られている感はあるのですが竹中直人で。
- 現在の精霊:女性の元気いっぱいの精霊。渡辺直美でお願いします。
- クラチット家のお父さん:小日向文世で決まりです。
このメンバーがミュージカルできるかどうか知りませんが、ええ声で歌えるなら、このメンバーでお願いします。
●笑いの伝染
“While there is infection in disease and sorrow, there is nothing in the world so irresistibly contagious as laughter and good humor.”
病気や悲しみは人から人へ伝染するが、笑いやユーモアほど抗い難く人から人へ伝染るものはこの世にない
ディケンズは小説「A Christmas Carol」のなかでこの一文を書いたそうです。笑いあり、涙ありのミュージカルは彼の意図通りなのかもしれません。
見渡すと世の中はネガティブなもので溢れているし、別の場所を見るとポジティブなもので溢れています。自分が何を発信して、何を受信するのかは、その人次第。せめてクリスマスシーズンは、ポジティブなものに限定して世の中に感染っていけばいいなと思います。
●Bah, humbug!
スクルージの口グセが"Bah, humbug!"(バー、ハンバグ!)なのです。ミュージカル観てる間は、その意味が分かりませんでした。あとで調べてみると、これで「ふん、くだらん!」という意味らしいです。「クリスマスなんてバカバカしい」という意味で序盤に何度かスクルージがこの言葉を使います。
クリスマスとハンバーグ(hamburg)に何の関係があるんやろ?と思って聞いてたのですが、ハンバーグではなくハンバグ(humbug)でした。humbugに「馬鹿げたこと」という意味があります。
最後に
最近、気に入ってAI (Image Creator)によく絵を描かせたりしているのですが、それに感心することはあっても感動することはありません。
やはり生身の人間が作り出す作品は心動かされるし、涙や笑いが込み上げます。AIは人間の真似事はできるのですが、そこに「人間の熱量」を感じることはありません。額に汗しながら歌って踊るその人の姿にその方の生き様が感じれますからね。たまには「人間の熱量」に触れることが大事だなと思いました。
それでは、またー