THE TIME YOU ENJOY WASTING IS NOT WASTED TIME

テキサス州オースティン在住の単身赴任者の記録

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バレエ組曲『コッペリア』にウットリや〜

(Image Creatorにて作成)

 

 

はじめに

今日はバレエ組曲『コッペリア』(Coppelia Suite) を鑑賞してきました。去年のクリスマスシーズンに奥さんと一緒に『くるみ割り人形』を観てから、この歳になってバレエの面白さに気づいてしまい、また何かバレエ作品を観たいなと思っていました。

 

▼初めてのバレエ『くるみ割り人形』を観た話▼

 

そんな時、ネットでAustinで活動するMetamorphosis Danceというバレエ団による『コッペリア』の演目を知ったので行ってきました。

 

 

コッペリアの原作・作曲

●原作

コッペリアの原作はE .T.A.ホフマン物語『砂男』と言う作品らしいです。

 

『砂男』は人形に恋した男の狂気性を前面に押し出した物語であるが、『コッペリア』はその狂気性を抑え、陽気で明るい喜劇として再構成されている。

 

とのことです。E.T.A.ホフマンは『くるみ割り人形』の原作者でもあるので、人形に特別な思い入れがあった人なのかもしれません。両方の作品において、人形に「命」を与え、人形が人間のように振る舞うと言う点で共通しています。

 

ロボットに「命」を与える、人間に近づいていくAIなど、人間でないものに人間の命や思考を与えるというのは、現在でも脈々と続くテーマです。命をコントロールしたい、人間とは何かを追求したい、と言うのは人間の本能的な欲望なのでしょう。縄文人が土偶を作るのも、ホフマンが動く人形をテーマにするのも、現代人が人型ロボットやAIを作るのも、同じ欲望のような気がします。

 

●作曲

「くるみ割り人形」は言わずと知れたチャイコフスキー作曲ですが、「コッペリア」はレオ・ドリーブ (Léo Delibes) という作曲家です。私は初めて聞く名前ですが「フランス・バレエ音楽の父」と言われている方らしいです。

 

今日の演目は撮影禁止だったので、後ろの方にYoutubeの動画を貼ってます。コッペリアをご存知なかった方は見てみてください。バレエはもちろんのこと音楽も素晴らしく美しいです。

 

コッペリアあらすじ

wikipediaで「砂男」と「コッペリア」のあらすじを読む限り、もはや内容は全くの別物です。「砂男」に人形およびそれに恋する男は登場しますが、ストーリーは「コッペリア」と全く異なります。バレエ作品にするときに大衆ウケするよう、またバレエに馴染むよう、改編されているのだと思います。

 

開演前の様子

 

コッペリアに登場する主な登場人物(人形)は以下の4名です。

  • スワニルダ:村の娘、フランツの恋人
  • フランツ:村の青年、人形と知らずにコッペリアに恋をする
  • コッペリウス:コッペリアを造った博士
  • コッペリア:コッペリウス博士が造った自動人形

 

1幕:スワニルダとフランツは恋人同士ですが、スワニルダはコッペリウスの家にいるコッペリアに興味があります。この時点でコッペリアが人形だとは誰も知らず、人間の可愛い女の子だと思われています。これが原因で二人の関係は、ギクシャクしてしまいます。

 

2幕:ある日、コッペリウスが出かけた隙に、スワニルダとフランツはコッペリウスの家に忍び込みます。家に帰ってきたコッペリウスにフランツが見つかってしまい、叱られます。しかし、ここでコッペリウスはフランツの魂(命)をコッペリアに移すことを思いつきます。

フランツをお酒で酩酊させ、その隙に魂を抜こうとします。この一部始終を覗き見ていたスワニルダは魂が移ったと見せかけるため自分がコッペリアに成りすまします。コッペリアに成りすましたスワニルダは散々コッペリウスをからかい、最後はスワニルダと無事に家から脱出します。

 

3幕:コッペリアが人形であったと知った二人は仲直りし、結婚の日を迎えます。しかし、その日にコッペリアを壊されたコッペリウスが怒鳴り込んできますが、最後はコッペリウスとも仲直りして、ハッピーエンドになる、と言うお話です。ただし、終わり方は、演出によっていろんなエンディングがあるようです。

 

Metamorphosis Danceによるコッペリア

Metamorphosis DanceはAustinにあるセミプロ集団で、子供(3歳から)から大人まで所属しているようです。地元Austinの学校、図書館などでバレエを広める活動をしています。今回の入場料は$15でした。音楽はスピーカーから流れており、生演奏ではありません。

 

1幕は、ほぼ子供たちのバレエ発表会でした。ストーリーと関係なく、小さいクラスの子達が順番にバレエを発表していました。主要4役のうち、スワニルダ以外は登場しませんでした。自分の親を見つけると思わず手を振っちゃうような子もいました。可愛かったですけどね。$15なので、贅沢は言えません。

 

下の動画はYoutubeからの引用です。Metamorphosis Danceによるものではありません。「コッペリア」をご存知なかった方は見てみてください(日本からも見れたらいいのですが)。

 

▼1幕の中でポピュラーなMazurukaという曲の部分▼

 

2幕からストーリーに則ってました。主要4役が全て登場しました。スワニルダ役がプリマだと思いますが、流石スワニルダは群を抜いてました。関節の数が普通の人間と違うんじゃないかと思うぐらい、柔らかい動きです。また地球の重力も彼女だけ違うんじゃないかと思うぐらい、軽やかな動きです。

 

上手い人って、激しい動きや飛んだり跳ねたりはもちろん上手いのですが、それだけじゃなく全てのポーズが美しいです。立ってるだけ、歩くだけ、で違いを表現できます。きっと関節のしなやかさ、可動域の広さの違いが立ってるだけ、歩くだけにも現れるのだと思うのですが、結局、基礎レベルの違いが全てに現れるんやろな、と見てて思いました。

 

▼2幕:コッペリア(実はスワニルダ)に魂が吹き込まれ動き出すところ▼

 

あらすじでは3幕にもコッペリウスは登場することになってましたが、今日の演出では3幕にコッペリウスは登場しませんでした。スワニルダとフランツ、そして女友達による祝いのバレエでした。3幕はベテランクラスのみの登場だったので、どれも美しかったです。1、2幕に登場した子供たちは観客席に来て、お父さんお母さんと一緒に3幕を見てました。

 

▼3幕:スワニルダとフランツのバレエ(パドドゥ)▼


Youtubeの動画では男性もたくさん登場しますが、今日の演目では、フランツ、コッペリウス、あと子供クラスに一人男の子がいたけど、この3人だけでした。あとは全部女性。やっぱり男の子で習う子は少ないのかな。

 

最後に

今日バレエを観て思いました。次、私に女の子ができたら、絶対バレエを習わせようと思います!

 

それでは、またー

 

▼こちらはバレエじゃないけど中国の古典舞踊を見に行ったお話。世の中は私が知らないだけで、まだまだ美しいものはいっぱいありますねー▼