Dia De Los Muertos 2022
この週末にAustinで今年開催される最後の「死者の日 (Dia De Los Muertos)」イベントに行ってきました。死者の日は11月1, 2日なんですが、それが過ぎての11月5日の開催でした。入場は無料のイベントです。
こういう祭事って、その当日までは色々盛り上がるけど、終わった瞬間に一斉に街から姿を消す、っていうイメージなのですが、このイベントは本来の日が終わってから3日後のイベントです。
みんなでクリスマスケーキを12月28日に食べる、みたいな。そんなイベントでした。私は「死者の日」大好きですからね。3日遅れぐらい全然OKですよ。
イベント内容
会場はEmma S. Barrientos Mexican American Cultural Centerというところでした。ダウンタウンの中心からは徒歩15分ぐらい。若者に人気のバーが密集している通り「レイニーストリート」のすぐそばです。
イベントは、メインステージがあり、そこでバンド・ダンスなどの出し物がありました。私は到着が少し遅かったので、Conjunto Los Pinkysの演奏から聴きました。
本当は、その前のLoteriaというバンドから聴こう、と思って到着してたのですが、Loteria(ロテリア)というのはバンドの名前じゃなくて、子供がやるカードゲーム(ビンゴゲームみたいなもののメキシコ版)のことでした。知らなかった…
このステージの周囲にメキシカンフードやメキシコグッズなどの屋台がたくさん出店されてました。また「死者の日」には欠かせない祭壇(オフレンダ, ofrenda)もたくさん設置されていました。顔にカトリーナメイクしてくれるブースももちろんありました。
オフレンダ
オフレンダとは祭壇のことですが、仏教でいうところの仏壇のイメージです。ただ日常的に飾られているわけではなく、亡くなった家族が来世から現世に戻ってくる「死者の日」に合わせてメキシコの各家庭ではオフレンダを設けるようです。
この辺の事情は、アニメ映画「リメンバー・ミー」に詳しく描かれています。私の印象では、オフレンダは階段状になっているので、雰囲気は、雛人形を飾る段みたいです。加えて、オフレンダの特徴は「非常に色鮮やかで派手」ということ、「故人の写真を飾る」ということが、ポイントかと思います。
「色鮮やかで派手」になる1番の理由は、マリーゴールド(marigolds)という花をお供えの花に使用するからだと思います。マリーゴールドは色が目立ち、匂いが非常に強いので、死者が来世から帰ってくるときに色や香りを頼りにして、帰り道に迷わないように、という意味があるようです。
日本のお盆では、死者が乗って帰ってこれるようにと精霊馬というものがありますが、メキシコでは、乗り物ではなく、道標を置くんですね。表現の違いこそありますが、どちらも死者にちゃんと帰ってきて欲しい、という願いが込められています。
故人の写真については、日本の仏壇でも飾られると思いますが、若干意味合いが異なるようです。映画「リメンバー・ミー」でもメインテーマとして描かれてますが、メキシコでは「現世にいる人から忘れ去られた時に、故人に二度目の死が訪れる」と考えます。なので、「あなた(故人)のことを忘れていないよ」という家族の意思表示がオフレンダに写真を飾るということのようです。同じ目的で、写真以外にも故人の遺品なども置かれます。
ステージでの催し物
「死者の日」になんでバンド演奏すんの?不謹慎じゃないの?と思われるかもしれませんが、演奏に限らず、現世に帰ってきた魂に喜んでもらうために現世の人が楽しく過ごす、ということが根底にあるようです。
で、ステージ演奏ですが、まずはCONJUNTO LOS PINKYS WITH SUSAN TORRESの演奏です。Los Pinkysの名でApple Musicに登録されてます。家でタコス食べる際のBGMにどうぞ。下の動画の1曲目のアコーディオン奏者がゲスト演奏のSusan Torresさんのようです。
2曲目以降は、本来のこのバンドのアコーディオン奏者のIsidro Samilpaさんに代わります。びっくりするぐらいの年配の方でした。70歳は超えてはると思うんですよね。それぐらいのお年に見えるのに、現役でバンド活動やって歌いながらアコーディオン演奏できるんや!ってびっくりしました。
次にこちらは、EL COMBO OSCUROの演奏です。コンガの音色が心地よいです。EL Combo Oscuroの名でApple Musicにも入ってます。この動画よりはボーカル上手いですよ笑。家でルチャ・リブレごっこするときのBGMにどうぞ。
最後にこちらは、先日のAustinのパレードの時にもコンチェロス(Concheros)を披露していたDANZA AZTECA GUADALUPANAです。パレードの時と同じグループです。
今回は、先日のパレードのメンバーより子供が少し多かったように思います。動画の最後(3:40から)の方ですが、若い子供だけステージに残されて、他のメンバーより多めにクルクル回るシーンがあります。「あんたら、若いんやから、もうちょっと踊りぃな」みたいなのがあるのでしょうか。
曲の始まりや終わり、あるいは曲の途中でリズムが変わる時に何を持ってタイミングを合わせてんのかなと思ってたのですが、今回わかりました。一人、奇声を上げる役割の人がいるんですね。誰かが「あっーーー!!!」と声を出すタイミングで色々変化が付くようです。
コンチェロスは何回見ても好き。太鼓がええのかな。コンガにしても、このコンチェロスの太鼓にしても、打楽器ってあんな簡単な構造やのに、他の複雑な構造の楽器に負けないぐらい心に響くものがありますよね。不思議。
最後に
こういう異国の文化に触れたとき、いつも思います。人間みんな一緒やな、って。人間って、状況に対する感じ方って世界中どこでも似てると思うんです。人が死んだから悲しい、でも生きてる人は明るく生きていかなあかん、とか。困っている人は助けたらなあかん、客人はもてなしてあげなあかん、とか。
でも、それを表現・実現する手段は、地理的、文化的な背景で全く違ってくるから、面白いと感じるんでしょうね。状況に対する感じ方まで違う人に出会ったら、面白いと思わずに、怖いって感じると思うんですよね。それは、もはや宇宙人ですから。
それでは、またー
⇩こちらが先日Austinのダウンタウンであったパレードの様子です。