はじめに
先日のアカデミー賞授賞式で俳優のウィル・スミスがその時のプレゼンターを勤めたコメディアンのクリス・ロックを引っ叩いた事件がありました。私は米国に住んでいることもあり、夜リアルタイムで見てました。しかも録画もしながら。
録画してた理由は『ドライブ・マイ・カー』が受賞したら、そのシーンを後でゆっくり見直そうと思って録画してました。そしたら、ウィル・スミスの件の事件が起こりました。
⇩ドライブ・マイ・カーは劇場で見てたので、多少思い入れがあったのです。長編映画賞、おめでとうございます!
録画していたこともあり、テレビにかじり付いて観てたわけではないのですが、テレビの音声が急に消えたし、なんかウィル・スミスが怒っているし、何かが起こったんやなとは思いましたが、その時は何が起こったのか分かりませんでした。詳細が分かったのは、翌日のネットニュースを見てからです。
日本でもいっぱい報道されたでしょうから、見られた方も多いと思いますが、これが問題のシーンです。
世間の反応
ネットニュースのコメントを見てると、
「どんなことがあれ、暴力は許されない」
「暴力はダメだが、奥さんが侮辱されたのだから、自分も同じことをすると思う」
「言葉の暴力はよくて、物理的な暴力だけが非難されるのか」
などなど、さまざまな意見があります。言葉の暴力、物理的な暴力、家族への侮辱、クリス・ロックは奥さんの病気のことは知らなかった、といろんな複雑な事情が絡んでいるので、何が正解なのか難しいですよね。
「この状況であなたならどうしますか?」と道徳の教科書にでも出てきそうなシチュエーションです。
私も「自分ならどうするだろう?」と考えました。で、気づいたのですが、このシチュエーションでの自分の取るべき行動を考えようと思うと、大袈裟な話ですが、自分の人生の目的とか、人生の道の歩き方とか、そこに行き着くような気がするのです。
世間のルールと自分のルール
多分「どんなことがあっても暴力をふるってはいけない」というのは世間の決めたモラルというか世の中が決めたルールであるような気がするのです。
例えば、自分の家族が通り魔に殺されたとしても、世の中のルールでは、私たちは、その通り魔に暴力を振るうことは許されません。
一方で人生は選択の連続です。ある瞬間、世間のルールに則れば右方向に進まないといけないとします。しかし、自分自身のルールに従えば左方向に進みたい、という状況があったとします。その時にどちらの道を選ぶかは、その人の覚悟に依るんじゃないでしょうか。
この分かれ道に立った時、右方向を選べば、自分の中ではモヤモヤしたものが残るかもしれませんが、世間から批判を受けたり、罰を受けたりすることはないでしょう。
一方、左方向を選べば、自分の中で後悔はないかもしれませんが、世間から批判を受けたり、時には罰を受けることがあるでしょう。もっと酷い場合、自分のみならず、自分の家族まで批判の対象になってしまうかもしれません。
どちらを選ぶかの判断基準
ここまで考えると、左方向を選択した場合に受けるであろう、批判・罰の覚悟ができているのであれば、左方向を選択すればいいと思います。逆にその覚悟ができないなら、世の中のルールの方向、つまり右方向を選ぶべきじゃないでしょうか。
私の想像ですが、あの一瞬の間に、ウィル・スミスはいろんなことを考えて、その後、起こるであろう批判や罰を覚悟したんじゃないでしょうか。だったら、私は引っ叩いたことは彼の中での正解だと思います。私も世間のモラルやルールより、自分の中の正義を信じて生きたいと思っているので、ウィル・スミスと同じ行動を取ると思います。あるいは、取りたいと思います。もちろん、その後に起こるであろう批判や罰を覚悟して、です。
自分自身の人生は、他人や世間が決めたルールやモラルの上を歩いていくことではないと思います。自分自身のルールやモラルの上を歩いていくものだと思います。
世間が決めたルールと自分自身のルールは9割がた一致するのですが、このシチュエーションのように、たまに食い違いが起こる場合があるのです。その場合は、批判や罰を覚悟して、自分自身のルールを貫きたいと思うのです。
言葉の暴力と物理的な暴力
私は決して、言葉の暴力も物理的な暴力も肯定するわけではありません。ただし、正当防衛的な防御を目的とした攻撃はある程度容認される場合があっていいと思います。
今回の件は、先に相手が言葉の暴力で先制攻撃をしています。外見で笑いを取ろうとした下品な言葉の暴力とその後のビンタ1発では、私の中の正義では問題ないレベルです。
これがグーで何発も殴るとか凶器を使う、とかなればまた話は別ですけどね。ただ物理的な暴力の方が言葉の暴力より、より忌み嫌われる傾向にあることは理解しているので、たとえビンタ1発でもある程度の批判や罰は仕方がないでしょうね。
最後に
でも難しい話抜きにして、単純にああいう形で奥さんを守ったウィル・スミスをかっこいいと私は思いました。
それでは、またー